お役立ち情報
2026.08.25
衣替えの収納はいつから?最低気温の予報を目安にする手順と湿気対策
「衣替えって、いつ始めるのが正解なんだろう?」と悩んでいませんか。
実は、衣替えはカレンダーの日付で決める必要はありません。
向こう1週間の最低気温の予報と、その服をまだ着るかどうかで判断して大丈夫です。
いっぺんに全部を終わらせる必要もなく、「もう着ないかな」と思った服から順番にしまっていけばOKです。
「最低気温が18℃くらいになったら半袖から長袖へ」という調査結果もありますが、これはあくまで街ゆく人の服装を観察した目安にすぎません。
衣替えを始める絶対のルールではないので、無理に合わせなくて大丈夫ですよ。
この記事では、衣替えをいつ始めるか、どこまで服をしまうか、しまった後に何をすればいいかを、気象庁などの公的なデータや専門機関の資料をもとに、わかりやすくお伝えします。
記事内の気温や湿度は東京のデータを参考にしていますが、ご自身の住む地域の調べ方も一緒にご紹介しますね。
衣替えの時期は、これからの気温の予報と着る予定で決める

衣替えをスタートする日は、その年の気温の下がり方と、「その服をまだ着るか」というご自身の予定で決まります。
「毎年10月1日!」とカレンダーで決めてしまうと、その年の気候に合わず「しまったのにまた出しちゃった……」なんてことになりかねません。
最近は9月に入っても残暑が厳しい日が多いですよね。
「もう秋物を出してもいいのかな?」と迷うのは当然のこと。
頼りになるのはカレンダーの日付よりも、これからの実際の気温です。
よく言われる「6月1日と10月1日」というのは、学校の制服などで広く使われてきた慣習であって、ご家庭の衣替えのルールではありません。
ちなみに環境省も、クールビズについて、令和3年度から全国一律の実施期間の設定を行わない運用に変えたとしています。
これは家庭の衣替えのルールではありませんが、「暦に縛られず、その年の気温に合わせて服装を調整しよう」という考え方の参考になりますよね。
今週やるかは、向こう1週間の最低気温予報と着る予定で決める

「よし、今週やろう!」と決める基準は、「週間天気予報の最低気温」と「その服を着る予定があるか」の2つだけです。
なぜ予報を見るのかというと、後でご紹介する「平年値」はあくまで過去30年の平均データだからです。
平均データは、「今年の○月○日が寒いか」までは教えてくれません。
9月なのに急に冷え込む日もあれば、10月に汗ばむような日が戻ってくることもあります。
手順はとてもシンプルで、たったの3ステップです。
- 天気予報で、お住まいの地域の向こう1週間の日ごとの最低気温をチェックします。
- 気温がどう変化するかを見ます。このまま涼しくなっていくのか、また暑さがぶり返すのかを確認します。
- 向こう1週間で着る予定がない夏物から、順番にしまっていきます。
毎日の気温をチェックするには、気象庁の週間天気予報が便利です。
明日から7日先までの天気や最高・最低気温を、毎日11時ごろと17時ごろに発表してくれます。
もう少し先の傾向を知りたいときは2週間気温予報という便利なものもありますが、こちらは少し見方が違います。
8日先から12日先を中心とした5日間の平均的な気温を予想するもので、「来週の火曜日は寒いかな?」ではなく「再来週あたりは全体的に暖かいのかな?」といったザックリとした傾向をつかむためのものです。
ですので、今週衣替えをするかどうかの判断には「週間天気予報」を使い、「2週間気温予報」は「再来週は平年より寒くなりそうかな?」と先の見通しを立てるために使うのがおすすめです。
判定の方法はシンプルです。
向こう1週間の最低気温の予報を見て、この先涼しくなりそうなら、着る予定のない服からしまっていく。
もし「まだ着るかも」と思うなら、無理にしまわず手元に残しておきましょう。
目安の一つは日最低気温18℃
衣替えの目安としてよく耳にするのが「日最低気温が18℃」という数字です。
日最低気温とは、1日の中で一番気温が下がったとき(朝晩が多いですね)の温度のことです。
ウェザーニュースがライオン株式会社と共同で2019年秋に実施した調査(ウェザーニュースのアプリ内で実施)によると、最低気温が18℃になると、約6割の人が半袖から長袖へ服を切り替えていたそうです。
ただ、これはあくまで「みんながいつ服を変えたか」という観察データです。
18℃になったからといって、慌てて衣替えをしなければいけないというルールではありません。
「18℃になる日を待つ」のではなく、天気予報とご自身の予定を見ながら、1着ずつ柔軟に判断していくのが一番です。
一度に全部しまわず、着る予定のない服から順にしまう

衣替えは「今日1日で全部終わらせなきゃ!」と意気込む必要はありません。
着る予定のない服から、何回かに分けて少しずつしまっていくほうが、実はとっても合理的です。
進め方のコツは、次の3段階です。
- もう絶対に今シーズンは着ない夏物(水着やノースリーブなど)から先にしまいます。
- 半袖のTシャツや薄手のシャツは、週間天気予報で最低気温を見ながら、少しずつしまっていきます。
- 羽織りものや薄手の長袖は、秋の寒暖差がある時期に大活躍するので、一番最後まで残しておきます。
こうして段階的にしまっておけば、急に暑い日が戻ってきても「あ〜、せっかくしまったのにまた出さなきゃ」というストレスがありません。
「今日は何枚しまおう」と難しく考えず、無理のないペースで進めてくださいね。
年間の計画は東京の平年値で立て、自分の地域は気象庁で確認する
「毎年だいたい何月ごろに衣替えしてるんだっけ?」と気になったときに便利なのが「平年値」です。
平年値(1991〜2020年)とは、過去30年間のデータを平均した、その地域の標準的な気候の目安です。
気象庁が発表している東京の平年値を見てみると、日最低気温の平均は9月が20.3℃、10月が14.8℃と、たった1ヶ月で5℃以上も下がることがわかります。
本格的に涼しくなるのは10月以降になりそうですが、実際に作業を始める日は、やはり今年の天気予報を見て決めるのが安心です。
年によっては気候が大きく外れることもあります。
たとえば気象庁の東京の2025年の記録を見ると、9月の日最高気温の平均が30.9℃もあり、平年より3.4℃も暑い年でした。
ご自身のお住まいの地域の平年値は、気象庁の過去の気象データ検索で簡単に調べられます。
ページを開いて地点を選び、「日最低気温の平年値」を見るだけの3ステップです。
下の表は東京のデータですので、他の地域にお住まいの方はぜひご自身のエリアをチェックしてみてください。
| 月 | 日最低気温の平年値(℃) | 平均相対湿度(%) |
|---|---|---|
| 9月 | 20.3 | 75 |
| 10月 | 14.8 | 71 |
| 11月 | 8.8 | 64 |
出典: 気象庁「東京(東京都)平年値(年・月ごとの値)」統計期間1991〜2020年
- 文部科学省は相対湿度60%以下を管理目標として示していますが、これは文化財や貴重な資料を保存するための管理目標であって、家庭の衣類保管の公的基準とは別のものです。
この表を見ると、気温は10月以降グッと下がるので安心できそうに見えますが、右側の「湿度」は秋になってもなかなか下がりきりません。
「気温が下がっても、湿度は意外と高いまま」というところが、秋の衣替えで気をつけておきたいポイントです。
秋の回は洗浄の比重が高い。しまう前の4工程

秋の衣替えでしまうのは、汗をたくさんかいた夏服が中心です。
そのため、「しまう前にしっかり洗うこと」がとても重要になってきます。
大切な服を守るため、汚れ・湿気・虫の卵・収納スペースのホコリを残さないよう、次の4つのステップで準備をしましょう。
服に残った汗や皮脂は、来年出したときの黄ばみの原因になりますし、虫食いトラブルを引き起こすこともあります。
一度しか着ていない服も洗う。黄変は汚れと酸素の反応で起きる

「1回しか着てないし、見た目もきれいだからそのまましまおう」と思いがちですが、それは少し危険です。
長くしまう前には、どんな服でも必ず汚れを完全に落とし切るようにしてください。
なぜかというと、しまっている間に服の状態で変化が起きてしまうからです。
真っ白だった服が黄ばんでしまう「黄変(おうへん)」に悩まされたことはありませんか?
東京都クリーニング生活衛生同業組合は、この黄ばみを「衣服に付着している汚れと酸素が化学反応を起こして変色する現象」としています。
だからこそ、同組合は衣替えなどの長期保管の前に、クリーニングで汚れを完全に落とすことをすすめています。
もう一つ怖いのが、服を食べる虫(衣類害虫)の被害です。
日本環境衛生センターの橋本知幸氏は、衣類で被害にあう箇所について「洗い残した他の栄養分が含まれている部分」と報告しています。
つまり、同じ1着の服でも、うっかり汚れが残ってしまった場所が虫に狙われるというわけです。
このように、「汚れ」は黄ばみと虫食いの両方を引き起こす一番の厄介者です。
虫食いは「動物性の素材かどうか」と「汚れが残っているか」の2つで決まるため、たとえ綿やポリエステルでも、食べこぼしなどが残っていれば虫のターゲットになってしまいます。
しまう前にしっかり洗うことが、黄ばみも虫食いもまとめて防ぐ最大の防御策になるのです。
洗濯表示でアイロンが使える衣類なら、熱で卵を死滅させられる

「家で洗えないし、クリーニングに出すのもちょっと…」という服には、アイロンを活用するという裏技があります。
日本繊維製品防虫剤工業会によると、アイロンの熱を利用して、服についてしまった虫の卵を死滅させる(殺卵)ことができるそうです。
ただし、どんな服にも使えるわけではない点には注意が必要です。
アイロンの熱はあくまで「虫の卵」をやっつけるための手段であって、汗や皮脂の汚れを落として黄ばみを防ぐ働きまでは期待できません。
「洗えないからアイロンだけで済ませよう」ではなく、「洗濯もクリーニングもできず、洗濯表示でアイロンが使える服の場合の、ひとつの助け舟」として覚えておいてくださいね。
クリーニングのポリ袋は外し、風を当ててからしまう

クリーニングから返ってきた服、あの透明なポリ袋に入れたまましまっていませんか?
必ず袋を外し、風を当てて湿気をしっかり飛ばしてから収納しましょう。
日本繊維製品防虫剤工業会も、クリーニング後の衣類には湿気が残っていることがあるため、面倒でも袋を外して風に当てるよう呼びかけています。
袋に入れたまま密閉ケースに押し込むと、湿気を丸ごと閉じ込めることになってしまいます。
もしホコリ避けのカバーをかけたい場合は、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会のアドバイス通り、通気性の良い「不織布カバー」を選ぶのがおすすめです。
密閉できる衣装ケースとの使い分けについては、のちほど詳しくお伝えしますね。
空いた収納を掃除してから、次の服を入れる

服を取り出して空っぽになった収納スペースには、新しい服を入れる前にサッと掃除機をかけましょう。
日本繊維製品防虫剤工業会によれば、綿ぼこりの中に虫の卵が産みつけられている場合があるそうです。
全国クリーニング生活衛生同業組合連合会も、収納場所をきれいにしてからしまうようすすめています。
ホコリが溜まりやすい四隅や床を中心に、しっかり吸い取っておくと安心ですよ。
ここまでを振り返ると、しまう前の準備は次の4ステップになります。
①汚れをしっかり落とす(洗濯やクリーニング)
②どうしても洗えない服は、アイロンで熱を加える(表示でOKな場合のみ)
③クリーニングのポリ袋は外し、風を当てて湿気を飛ばす
④空っぽになった収納スペースに掃除機をかける
この準備をしておけば、大切な服を来年まできれいに保てますよ。
衣類の詰め方は、上限8分目と素材ごとの線引きで決まる

いざ衣装ケースに服を詰めるときは、「8分目」くらいを目安にするのがコツです。
残りのスペースをどう使うかは、服の素材や形で決めていきます。
「織った服(シャツなど)はハンガーに吊るす」「編んだ服(セーターなど)はたたむ」のが一般的な目安で、圧縮袋を使うときは、服のタグと袋の使用条件をしっかり確認しましょう。
ついつい「入るだけ詰め込もう!」と思ってしまいますが、8分目にするのには「防虫剤をしっかり効かせるため」という大切な理由があります。
この理由を知っておくと、「あともう1着!」と押し込みたくなったとき、きっと手が止まるはずです。
収納ケースは8分目まで。詰めると防虫剤が行き渡らない

衣装ケースに服を入れるときは、全体量の8分目くらいでストップしてください。その理由は防虫剤にあります。
日本繊維製品防虫剤工業会は、衣類を詰め込みすぎると防虫剤が行き渡りにくく、効果も半減するとして、目安に収納ケース8分目くらいまでを示しています。
実は防虫剤の有効成分は空気よりも重く、上から下へと降りていく性質があります。
ぎゅうぎゅうに詰め込んでしまうと、成分が下まで届く通り道がなくなってしまうのです。
入りきらなかった服は、無理に押し込まずに別のケースに分けてくださいね。
もちろん効果には限界があるので、8分目にすれば虫食いを防ぎきれる、というものでもありません。
それでも、パンパンに詰めた状態より条件はよくなります。
もし新しいケースを買い足すときは、先にご自宅の押入れやクローゼットの内寸と「扉の開き方」を測っておくのが失敗しないコツです。
奥行きがピッタリでも、扉の開き方によっては引き出せない…なんて事態を防げますよ。
織物は吊るす、編物はたたむ。たたみ方は原則だけで足りる

服をどうやってしまうか迷ったら、「織物」か「編物」かで分けるのが簡単です。
織物とは糸を交差させて作った布の服(シャツやコートなど)、編物とは糸をループ状に編んだ服(Tシャツやセーターなど)のことです。
東京都クリーニング生活衛生同業組合もこの分け方をおすすめしており、一般的には「織物は吊るして」「編物はたたんで」保管すると案内しています。
同組合は織物でもアイテムによってはたためるとも明記しており、素材名だけで一律に決まるものではありません。
この分け方の理由は、服の「型崩れのしかた」が違うからです。
伸び縮みしやすい編物をハンガーに吊るすと、自分の重さでだらんと伸びてしまいますし、パリッとした織物をたたんでしまうと、折りジワがくっきり残ってしまいます。
たたみ方については、服ごとに細かいやり方を覚える必要はありません。
「幅を同じくらいにそろえる」「折り目をむやみに増やさない」という2つの原則さえ守れば十分です。
たたんだ服は、横に寝かせるのではなく「立てて」ケースに入れると、パッと見て探しやすく、下敷きになってシワになるのも防げます。
圧縮袋は、使わない道具ではなく素材を選ぶ道具

かさばる服を減らせる圧縮袋ですが、絶対に使ってはいけない悪い道具というわけでもないんですよ。
ただ、使う前に必ず「服の素材と製品表示」と「圧縮袋の使用条件」を見比べてください。
旅行のときの短期間の圧縮の例は、数か月にわたる衣替えの長期保管にそのまま当てはめることはできません。
たとえば帝人フロンティアは、旅行の荷造りを扱った解説のなかで、ダウンについて「圧縮によって羽が折れ、せっかくのふんわり感を失ってしまうこともあります。
こうなると、元には戻すことができません」としています。同社はまた、薄く圧縮しすぎると繊維が折れて元に戻らなくなることにも触れています。
ですので、ダウンジャケットなどは圧縮せずにふんわり保管してください。
ウールやカシミヤなどの獣毛、シルク、革製品、そしてシワや型崩れが心配な大切な服も、圧縮は避けたほうが安心です。
ただし「元に戻らない」と資料で確認できるのはダウンについてのものに限られますので、それ以外のデリケートな素材は「避けたほうがよい」という目安にとどめます。
綿や化学繊維の服は、衣類の表示と圧縮袋の対象衣類・使用方法を確認したうえで判断してくださいね。
「これ、圧縮しても大丈夫かな?」と迷ったときは、圧縮せずに優しくたたんでしまうのが一番の正解です。
| 素材 | 虫害リスク | 圧縮 | 収納形態の目安 | ひとこと注意 |
|---|---|---|---|---|
| ウール・カシミヤ(獣毛) | 動物性繊維で、虫の主な食害対象 | 避けるのが無難 | セーター類はたたむ/コート類は吊るす | しわ・型崩れが出やすい |
| シルク(絹) | 動物性繊維で、虫の主な食害対象 | 避けるのが無難 | 形に合わせてたたむか吊るす | 摩擦に弱く、押し込まない |
| ダウン(羽毛) | 動物性繊維で、虫の主な食害対象 | 圧縮しない(羽が折れて元に戻らないことがある) | 圧縮せずに保管する | 通気性のあるカバーを使う |
| 綿・麻 | 汚れが残ると食害されることがある | 衣類の表示と圧縮袋の使用条件を確認 | シャツは吊るす/Tシャツはたたむ | しわ・型崩れが出やすい |
| ポリエステル等の化繊 | 汚れが残ると食害されることがある | 衣類の表示と圧縮袋の使用条件を確認 | シャツは吊るす/カットソーはたたむ | 洗い残しを作らない |
| 革・合成皮革 | 革は食害対象に含まれる | 避けるのが無難 | 型崩れしにくい形で保管 | 通気性のあるカバーを使う |
出典: 全国クリーニング生活衛生同業組合連合会/東京都クリーニング生活衛生同業組合/帝人フロンティア/橋本知幸(日本環境衛生センター)
- 食害対象になりやすい素材(獣毛・絹・ダウン・革)には、防虫剤を製品表示どおりに使ってくださいね。「収納形態の目安」は、服の形やメーカーの案内を優先してください。
この判断基準は、「虫に食べられやすいか」と「圧縮に耐えられるか」で分かれています。
虫食いのリスクは「動物性の素材かどうか」と「汚れが残っているか」で決まります。
一方で圧縮については、ダウンのように避けると資料で確認できるものを除けば、素材だけでは決まらず、衣類の表示と圧縮袋の使用条件によります。
「どうしようかな」と迷う服は、圧縮せずにたたんで大切に保管しましょう。
半年をどんな環境に置くか。東京の外気は10月も月平均で相対湿度71%

服をしまったあと、次の出番までの半年間、服はどんな環境で過ごすのでしょうか。
まず知っておきたいのは、「秋になって涼しくなっても、実は空気はカラッとは乾いていない」ということです。
東京の外気は10月でも月の平均湿度が71%あります。
だからこそ、「防虫剤は服の上」「除湿剤は下と四隅」という置き方の工夫が大切になってきます。
ここが、服をきれいなまま保てるかどうかの分かれ道です。
涼しくなっても、外の空気は乾いていない
相対湿度というのは、空気がどれくらいの水分を含んでいるかを表す割合です。
秋になって気温が下がったからといって、この割合まで一緒に下がるとは限りません。
気象庁の東京の平年値を見ると、平均相対湿度は10月が71%です。
実は60%を超えるのは4月から11月までの8か月、70%を超えるのは6月から10月までの5か月連続です。
これは東京の外気の月平均値であり、押入れやクローゼットの中を測った値ではありません。
この湿度の数字がなぜ重要かというと、2つの出典で役割が分かれます。
1つ目は、カビが育つ条件です。板橋区の資料によれば、室内のカビは温度が20℃前後・湿度が60%以上になると繁殖し、80%を超えると繁殖のスピードが速くなるとされています。
2つ目は、カビを止めるための管理目標です。
文部科学省の『カビ対策マニュアル 基礎編』では、カビの生育を止めるには環境の相対湿度を常に60%以下に保つことが必要としています。
ただしこの60%以下は文化財・資料の保存で用いられる管理目標であり、家庭の衣類保管について定められたものとは違います。
「カラッと晴れた日に衣替えをしよう」とよく言われますが、秋晴れの日でも外の空気が乾いているとは限りません。
だからこそ、「服を詰め込みすぎない」「段ボールは床に直置きしない」「除湿剤をしっかり使う」といった、しまい方の側で環境を整えることが大切になります。
除湿剤と防虫剤は、どちらかで代用できない

「除湿剤でカビ対策をしたから、もう虫食いも大丈夫でしょ!」と思いがちですが、実はそうもいかないんです。
除湿剤と防虫剤はまったく役割が違うため、どちらか片方でもう一方の代わりをすることはできないのです。
根拠は、2つの独立した出典にあります。
相対湿度60%以下は、先ほどお伝えしたとおり文化財・資料の保存の管理目標です。
一方で、日本環境衛生センターの橋本知幸氏は、服を食べる虫(イガ類)について「25〜30℃、50〜70%RHの環境下で被害が大きい」と報告しています。
ここから言えるのは、相対湿度を60%付近まで下げただけでは、イガ類にとって被害が大きくなる条件を外れたとはいえない、というところまでです。
ウールやカシミヤ、シルクなど虫害を受けやすい服をしまうときは、製品表示に従って防虫剤も一緒に使ってくださいね。
防虫剤は一番上、除湿剤は下と四隅に置く
防虫剤は服の一番上に置き、除湿剤は下と四隅に置くのが基本です。
これを逆にしてしまうと、どちらも本来の働きをしにくくなります。
ただし、適切な置き方は製品のタイプと使用場所によって変わりますので、使用場所に合った製品を選び、パッケージに書かれた置き方を一番に優先してください。
なぜ置き場所が決まっているかというと、それぞれの物理的な性質に理由があります。
日本繊維製品防虫剤工業会によると、防虫剤の有効成分は空気よりも重いため、上から下へと広がっていきます。
一方、エステーの解説によれば、湿気は高い場所より低い場所にたまりやすく、中央より四隅にたまりやすい性質があります。
「上から降りてくるものは一番上に」「下にたまるものは床や四隅で受け止める」という考え方ですね。
具体的な置き方は次のようになります。
| 場所 | 置くもの | 理由 |
|---|---|---|
| 押入れの上段に置いた衣類の一番上 | 防虫剤 | 有効成分は空気より重く、上から下へ広がるため |
| 押入れの下段の床 | 除湿剤 | 湿気は高い場所より低い場所にたまりやすいため |
| クローゼットの棚やケースの中の衣類の一番上 | 防虫剤 | 同じく上から下へ広がるため |
| クローゼットの床 | 除湿剤 | 同じく低い場所にたまりやすいため |
| 幅の広い収納の両端 | 除湿剤 | 湿気は中央より四隅にたまりやすいため |
出典: 日本繊維製品防虫剤工業会/エステー
- この表は、揮散するタイプの防虫剤と、押入れ・クローゼット向けの置き型除湿剤の代表例です。衣装ケースなど狭い場所には、服の上に直接置けるシートタイプなど別の製品もあり、すべての製品に共通する配置表ではありません。
ここで、安全に関わる注意を3つだけ添えておきます。まず、防虫剤は1種類だけに絞って使ってください。
全国クリーニング生活衛生同業組合連合会は、2種類以上の防虫剤を同時に使うと反応してシミの原因になることがあるとしています。
次に、使う量も「たくさん入れればいい」というものでもありません。
日本繊維製品防虫剤工業会も、表示された使用方法と使用量を守るよう案内しています。
最後に、除湿剤は「扉を閉めて使う」前提の道具です。
部屋全体の除湿には向きませんので、押入れやクローゼットの中で、扉を閉めた状態で使ってくださいね。
押入れの床に直接置かない。すのこと容器の使い分け

もし段ボールを使う場合は、そのまま床にドンと置くのは避け、すのこなどを敷いて底上げしてあげてください。
キハラも、床置きの段ボールはカビが必要とする水分(湿気)と栄養源(ほこり等)を揃えてしまうと指摘しており、対策としてすのこを敷いた上に置く方法を挙げています。
ただ、長期保管をするなら、段ボールよりもフタがカチッと閉まる密閉式の衣装ケースのほうがずっと安心です。
収納アイテムの使い分けは、服を「どうしまうか」で変わります。
たたんで長期保管する服には、密閉できる衣装箱に乾燥剤を入れて。
ハンガーに吊るして保管する服には、通気性の良い不織布のカバーをかけます。
全国クリーニング生活衛生同業組合連合会も、この2つは別のものとして案内しています。
「うちのクローゼット、どれくらいジメジメしてるのかな?」と気になったら、小さな温湿度計を1つ置いておくと、実際の相対湿度がパッと見てわかるのでおすすめですよ。
しまった後は、乾いた日に開けて確かめる。春の回は優先順位が変わる

衣替えは、しまったら終わりではないんですね。
ときどき、空気がカラッと乾いた日を選んで収納の扉を開け、服の様子を確かめてあげてください。
もし湿気やニオイ、虫食いが気になったら、そのサインを見逃さないようにしましょう。
また、春に行う「冬物の衣替え」では、秋とは少し気をつけるポイントが変わってきます。
ここでは、秋は「汗などの汚れ対策」、春は「虫食い対策」に比重を置くという整理でご説明しますね。
保管中も、乾いた日を選んで状態を確かめる
しまった服の様子を見るときは、必ずカラッと乾燥した日を選んでください。
必要なら、中の空気を入れ替えるように風を通してあげます。
昔から「虫干し(風入れ)」と呼ばれる、しまっている途中で一度出して風に当てるこの作業は、今でも服を守るためにとても有効です。
虫干しには、出典で示された条件があります。
『日本大百科全書』によれば、近年は空気が乾燥してくる秋の、晴天が2日以上続いた日のあとを選んで行うようになっており、時間帯は午前9時ごろから午後3時ごろまでがよいとされています。
東京都クリーニング生活衛生同業組合も、服を取り出して日陰で風に当てることが有効だとしています。
やり方は簡単な3ステップです。
- 乾いた日を選んで、収納の扉を開けます。
- 服を取り出して、日陰で風に当てます。
- 空になった収納の中に、サッと掃除機をかけます。
貴重な資料を守る東京都立図書館の現場でも、カビ対策として風入れや送風による空気の攪拌を行っています。
扉を開ける・風を通す・掃除するという3つなら、特別な設備がなくてもご家庭で真似できますよね。
点検では、服や収納の中に異常がないかをチェックします。
国立国会図書館は温湿度を急激に変動させないことを目指すとしており、湿った空気を入れてから扉を閉めるのは、目的と逆の方向です。
なお、点検の頻度を一律に示せる根拠はありませんので、収納環境や服の状態に応じて無理のない範囲で判断してください。
春の回は、防虫の比重が上がる
同じ衣替えでも、春に冬物をしまう回では防虫の比重が上がります。
秋との違いは、「しまう服の素材」と「しまった後にやってくる季節」にあります。
秋にしまうのは、汗をかく時期に着ていた服が中心です。
だからこそ洗浄の比重が高く、黄変も汚れと酸素の反応で起きます。
一方、春にしまう冬物にはウールやカシミヤ、シルクが多く含まれ、いずれも衣類害虫の主な食害対象です。
さらに、時期の重なりも見逃せません。
大日本除虫菊によれば、ヒメマルカツオブシムシは春に産卵し、孵化した幼虫が夏から秋にかけて絹やウールの衣類などを食べて育ちます。
つまり春にしまう冬物は、幼虫が育つ時期をまるごと挟んで保管することになるんです。
ただしこれは比重の話であって、「秋なら防虫を省いてよい」ということにはなりません。
日本繊維製品防虫剤工業会も、衣類害虫について、年間を通じて暖かい家の中では季節に関係なく被害にあうこともあるとしています。
秋にしまう服にも、防虫剤は製品表示どおりに忘れず使ってくださいね。
それでも入りきらないときの選択肢は3つ

「きれいにたたんで8分目を目指したけど、どうしても入りきらない!」ということもありますよね。
これは詰め方の問題ではなく「服の総量」の問題です。
打ち手は「減らす」「収納の使い方を変える」「家の外に置く」の3つに整理できます。
工夫しても収まらない段階では、置き方ではなく量のほうを動かすことになります。
入りきらないのは、片づけ方の問題とは限らない
クローゼットがパンパンなのは、あなたが片付け下手だからとは限りません。
そもそも、家に入ってくる量と出ていく量に、差があることが多いんです。
環境省の資料によると、1人が1年間に購入する服は約19枚、手放す服は約11枚とされ、手放す枚数より購入枚数が多い傾向が示されています(令和7年度の調査業務で行われたアンケート調査)。
ただし、購入と処分はそれぞれ別に集計された数字ですので、この差をそのまま家庭内の服の純増とみなすことはできません。
同じ資料には別のデータとして、家庭にある服の45%が使われずにしまい込まれていたことも示されています(推計対象年2023年)。
おうちの中には使われていない服も一定の割合であり、収納量を見直す余地があるということです。
だからといって「全部捨てましょう!」と無理を言うつもりはありません。
次の項では、そもそも面倒な衣替えを「やめられるかどうか」から一緒に見ていきましょう。
オールシーズン1か所に収まるなら、衣替えをやめる選択も成り立つ
もし持っている服が1か所のクローゼットにすべて収まるなら、思い切って「衣替えをやめる」という選択も成り立ちます。
年に2回の入れ替えは、限られた収納を使いやすくする方法の一つにすぎません。
すべての服が1か所に収まって日々の出し入れにも困らないなら、季節ごとの大がかりな入れ替えを省く選択もできます。
この考え方は、アンケートの結果にも表れています。
クロス・マーケティングの『衣替えに関する調査(2025年)』によれば、衣替えをしている人は62.5%で、「季節を問わず同じ場所に収納」している人は約3割でした。
そして衣替えをしない理由の上位には「衣替えをするのが面倒だから」と並んで「全ての服を収納できるスペースがあるから」が入っています(20〜69歳の男女1,100サンプル・2025年9月26〜28日実施・2025年10月1日公表)。
つまり、「収まるなら省く」「収まらないなら次の3択に進む」というシンプルな分かれ道です。
もし入りきらない状態がずっと続いているなら、打ち手の入口は総量のほうにあります。
ただ、しまい込む場所を変えても、汚れ・相対湿度・衣類害虫という条件そのものは変わりません。
オールシーズン同じ場所に置く場合でも、ここまでの洗浄と保管環境の考え方は、そのまま必要になります。
打ち手は3つ。減らす・収納の使い方を変える・家の外に置く

打ち手は3つあり、どれが向くかは服の総量とご自宅の収納で決まります。
①減らす。
環境省のデータにあった「45%の使われていない服」に心当たりがあるなら、まずここが効きます。「この1シーズンで1回でも着たかな?」「来年も着たいかな?」と服に問いかけてみましょう。
何枚まで減らすべきかという公的な基準はありませんので、着用の実績で振り分けてみてください。
②収納の使い方を変える。
収納自体にまだ余地があり、詰め方や置き場所の見直しで収まるなら、追加の費用はかかりません。
「収納ケースは8分目までにする」「段ボールはすのこで底上げする」「扉の開き方に合ったケースに入れ替える」などの方法があります。
また、秋の収納を取り合うのは服だけではないんですよ。
扇風機など季節家電をどこにまとめるかを決めると、服に使える面積が変わりますよ。
しまい方は[扇風機の収納は5工程。掃除から置き場所まで来年も安全に使うしまい方]で解説しています。
③家の外に置く。
「オールシーズン分が自宅に収まらず、どうしても手放せない服が残る」という場合の選択肢です。
オレンジコンテナのような屋外型のレンタルコンテナも、ここに含まれます。
ここで必ず確かめてほしいのが、「そもそも預けられる品目か」と「保管環境が服に合っているか」の2点です。
和服(着物)は約款上の禁止収納物にあたるため、収納をご遠慮いただいています。
また、屋外型に空調はなく、通気口があり、外気温に左右されます(屋内型でも空調があるとは限りません)。
つまり、家の外に預ける場合も、ここまでの洗浄・密閉できる容器・除湿剤・防虫剤という手当てを、そのまま持ち出して使うことになります。
この条件で預けられる服かどうかを先に決めておけば、契約してから預け直す手間が生まれません。
オールシーズン1か所に収まっている方は、①と②までで足りますよ。
3つのうち③を検討する場合は、預けられる物と預けられない物、高温多湿の環境で服に何が起きるか、保管の責任がどこにあるかまで確認してから決めてくださいね。
判断の材料は[トランクルームで服を保管する方法。衣類別の判断基準と湿気・虫対策]にまとめています。
よくある質問

最後に、本文で扱いきれなかった4つの質問に、確認できている範囲で短くお答えします。
服を減らす目安はありますか
「何枚捨てなさい」という公的なルールはありません。
環境省の推計(服の45%が着られていない)はあくまで全体の傾向であって、個人のルールではありません。
「この1シーズン着たか」で判断し、どうしても迷う服は「保留ボックス」にまとめておきましょう。次の衣替えのときに「やっぱり着なかったな」と実感できれば、無理なく手放せますよ。
収納ケースにラベルを付ける意味はありますか
「ラベルを付けたら〇%キレイが続く!」といったデータはありませんが、実生活ではとても役に立ちます。
次にケースを開けるのは数か月も先なので、「どこに何をしまったか」を未来の自分に教えてあげるための優しい工夫です。
一緒に「防虫剤を入れた日付」も書いておくと、交換の時期がパッと見てわかって便利ですよ。
防虫剤はいつ交換すればよいですか
パッケージに書かれている使用期間を一番優先してください。
有効期間の目安は製品ごとに違いますが、「温度やケースの種類によって効果の期間が変わることがある」という注意書きがあることも多いです。
衣替えのタイミングは、こうした防虫剤の残り具合や「おわり」のサインを確認するのにぴったりの機会ですね。
寝具や靴、季節家電の収納も同じ考え方でよいですか
「汚れをしっかり落として、完全に乾かしてからしまう」という基本は、寝具や靴にも共通しています。
ただ、洗えない製品も多いので、必ずタグの表示やメーカーのお手入れ方法に従ってください。
扇風機などの季節家電は、汚れの原因が「ホコリ」になり、電気製品としての安全面の注意も必要になってきます。
手順は[扇風機の収納は5工程。掃除から置き場所まで来年も安全に使うしまい方]で解説しています。
【まとめ】今週末にやること
最後に、今週末から始められる衣替えの順番をまとめておきますね。
- 向こう1週間の最低気温の予報を見て、着る予定のない服から選びます
- しっかり洗います(洗えない服は、表示を確認してアイロンの熱で虫の卵に対処します)。クリーニングから返ってきたポリ袋は必ず外しましょう。
- 空いたクローゼットや押入れに、サッと掃除機をかけます。
- 収納ケースには8分目程度を目安に入れ、詰め込みすぎないようにします
- 防虫剤は上、除湿剤は下と四隅を目安に置きます(置き方は製品表示を優先します)
- しまった後も、カラッと乾いた晴れの日を選んで、ときどき様子を見てあげましょう。
もしご自宅の収納だけでどうしても収まらないときは、減らす・収納の使い方を変える・家の外に置く、の3つからご自身に合った解決策を選んでみてくださいね。
監修:坪井 梨絵(アパルトマンホールディングス株式会社)
カスタマーサービス / 整理収納アドバイザー2級
トランクルーム事業に10年従事し、集客・客付けおよび現場管理を担当。整理収納アドバイザー2級(2023年6月取得)の資格を活かし、「部屋が片付かない」「収納が足りない」といったお客様のお悩みに対して、お客様目線での収納提案や現場の環境改善に取り組んでいる。